メロディラインを愛でる:DREAM SOLISTERは、すごい曲やから。

やあ、ひさしぶりです!(ぇ

VOCALOIDシーンにどっぷりと浸っていると、耳にする曲のメロディーラインがふと気になったりします。最近「すごいな」と思ったのは "DREAM SOLISTER"(作曲 加藤裕介)。ご存知、吹奏楽のアニメ「響け!ユーフォニアム」1期のOP曲ですね。歌はTRUEさんです。
イントロからエンディングまで、メロディにもベースにも「お!?」と思うところがたっぷり詰まっています。ちょっとまとめてみました。

1. 小さなモチーフを組み合わせた器楽的なライン
小さなモチーフの音高を上下したり、上下を反転したり(反行)。また長さを2倍、4倍、8倍にも拡大し、組み合わせてメロディが作られています。
モチーフは、歌いだしのフレーズ「かなえたいことが あふれてるから」からとられています。D-Es-D-Es-「いこーとが」, D-Es---F-「とがーあーふ」, F--FCDC「ふれーてるーから」の3つです。階名でいうと「ミファミファ」と「ミファーソ」と「ソソレミレ」です。
モチーフとしてはちょっと短すぎ、嬉遊句の素材みたいで「偶然でしょ」も含まれてきてしまうとは思いますが、まあ、厳密なアナリゼじゃないので、偶然の造形を愛でるのも大いにありということにして(笑)話を進めます。

2. 「ミファミファ」のモチーフ
  • 歌いだしのフレーズで提示。この4小節のフレーズは三度下で反復されるので必然的に「ドレドレ」が出てきます。
  • 「届けよう」の「とど」でファミがほのめかされ、続く「(行)こうク..ンド」でファミ、ファミと反行形。
  • サビでは「夢つめ込んで」のところで、ソラソラ(ハ長調)、「(跳ねかえ)す勇気」でドラドラと音高を拡大。
  • そして実は曲全体の調構成が、変ロ長調-ハ長調-変ロ長調-ハ長調 (B-C-B-C)となっています(注:B(ベー)は、popsでいうBb(ビーフラット))。。。もっとも、意図的かどうかは?

3. 「ソソレミレ」のモチーフによる伏線と回収
  • 歌いだしのフレーズ(変ロ長調)は階名「ソソレミレ」で区切れるが、終止しません。三度下で反復して、また「ミミシドシ」と終止しない。これを放置したまま曲はすいすいと進んでいきます。
  • 実はこれが伏線。それが回収されるのは、ずーーっと曲が進んで1コーラス目のしめくくり、「DREAM SOLISTER!」の「ソソドシド」という反行形。一番最初の伏線が一番最後で回収されているので、「決まった!」というものすごい爽快感がわきおこる気がします。

4. メインモチーフ「ミファーソ」は運命のように
  • サビ冒頭(弱起)の「ひびーけ!」のミファーソの3音がやっぱりこの曲のメインモチーフでしょう。そう思って観察すると、ほら、楽曲のいたるところで鳴り響いています---3音の順次進行なんて単純なもの、そりゃ随所にできるよ、とも言えますが、「イタズラ書きみたいなメロディ」が「ひとつ、ふたつと増えてく」んだということにしておきましょう。短いモチーフの頻出する楽曲といえば、ベートーベンの交響曲第5番「運命」第一楽章、あるいはバッハのインベンションの数々が思い浮かびますね。DREAM SOLISTER - ドリソリ - も、それに匹敵する楽曲だと私は思いますよ。
    • まずはサビ(ハ長調)から。冒頭はメロディ一本で、ミファーソ、ラシード、ドーシーラ、(ソラソラ) ソファーミ、とメインモチーフ4つ。次はベースと二本のラインになって:「大きな」はメロディがミレド、ベースがドシラと3度。「空へ」はドシラ/ラソファ#と10度でモチーフ。続く「旅立とう」のメロディは、レ(ラ)ドーシという4倍拡大。
    • サビ後半「離さ(ない)」以降が圧巻。メロディはメインモチーフ「ドレミ」で曲の最高点、同時にベースはラソファと反行してメロディのミと長七度で心地よい和声的緊張をもたらし、曲の鮮烈なクライマックスを成しています。2声インベンション4番のコーダの鮮やかな一瞬が脳裏をよぎります。そのあとも、モチーフの様々な長さの拡大形・縮小形が畳みかけられ、あたかもフーガのストレッタ(追拍技法)のような旋律的緊張感。
    • 「つまづいてもいい」の部分。メロディはシンコペーションを2小節ごとに正確に繰り返す。その三回目、|Eb-CD-Es-F|--で、あ、このリズムはメインモチーフだったかと種明かしされる。すると直後の B-D-F-As も、音度を拡大したメインモチーフでしょうか?間違いありません。というのは、後続のAs---Ges---F-Es-Ges-F- まで含めると、これはイントロとエンディングに現れるフリギア旋法のフレーズ(後述)の二倍拡大だからです。ではなぜ元のD-Es-F-AsのままでなくB-D-F-Asと音度拡大したのか。。。一つには、長さを二倍に拡大したので前半に限り音度も、というバランスの観点、そして重要なフレーズの入りなのに冒頭音がDではベースとユニゾンで目立たなくなること---さらに和声法でいうと、ここはI和音の第1転回形なので第三音の重複は禁止(導音重複)ですから、それを緩和するため、という面もあるでしょう。
    • イントロに目を移すと、冒頭のファンファーレのあとメロディラインはG---A---|B-, C-Des-Es-, 同時にベースはEs---D---|C-, D-Es-F- と、メインモチーフのみで構成。その次もベース はB-As-G, Ges-As-|B とメインモチーフ。最後の3音はメロディもF-Es-|D- とメインモチーフで、歌いだしの第一音(D)にぴったりとつながっています。
  • 曲全体を視野におさめてみると、メインモチーフのさらに長大な拡大形が浮かび上がってくるように思います。
    • 歌いだし。「かなえたいことが」から8小節にわたり、メロディ概形はD---C---B---A---. ベース概形はB---A---G---F---- と順次進行。次の「胸に秘めた」からのメロディ概形は4小節でG---F---F---Es--- とメインモチーフ、一方ベース概形は2小節単位にみてEs-------D-------C-------。ここまでの概形はすべて下行。
    • 「君の音色」からはベース概形が|B---|C---|D---,|Es--- ----|F--- ---|G--- ---- と、メインモチーフの4倍拡大、つづいて8倍拡大。一転してすべて上行。とくに後者の6小節にも及ぶ Es-F-G-の巨大なメインモチーフは、サブドミナントからのドミナントペダルを構成しつつ、変ロ長調からハ長調への力強い転調を導いており、この曲の構造の根幹となっている。2コーラス目ではB---C---D---の部分が4倍拡大から8倍拡大に増量される。

5. そのほかの気づき
  • 歌いだしのメロディラインの反復の構造が興味深いです。
    • 歌いだしのフレーズ「かなえたい。。。てるから」は4小節で、3度下がって完全同形で反復 (既出)。
    • 次のフレーズ「胸に秘めたあこがれを」は2小節で、2度下がって模倣される。
    • その次「行こうクレッシェ」 は1小節で、同度の反復。しかも2回目は、4拍から2拍へ、さらに半分の長さに圧縮されています。
    「反復するたびに長さは前回の半分(等比)、音度幅は前回より1減(等差)」になっています。伸びやかなメロディのようでいて、正確無比な図形が隠れていました。
  • イントロ冒頭のベースラインF-As-B-Des が印象的ですね。孤立しているのでしょうか?そうは思いません。「つまづいてもいい」のメロディの1小節ごとの最高音の列、B - G - F - D. をひっくりかえすと完璧にこの4音のフレーズになります。そういえばイントロの次の部分、「ワーン、ツーー、ワンツースリーフォー!」のリズムも、「(僕た)ちーはー、待っている」と一致しています。イントロとこの部分の、数々の呼応。意図的か、偶然か。まあ、「愛でる」分には「美しいなあ」でいいことにしましょう(笑)。
  • 楽曲全体を通じ、メロディとベースは3度(10度)音程で、優しく調和した豊かな響きを大切に保っています。ところがサビの冒頭だけ5度,8度がぐっと増え、方向性が一致した力強さが前面に出てきています。サビの後半は3度中心に戻るのですが、4.で述べたようにクライマックスで長7度、そのエコーは長9度、一つ休んで短7度と続きます。偶然か、意図的か。
  • エンディングのトニックペダルも興味深い。イントロのフレーズが再現され、また和声的には「(僕た)ちは待ってい(る)」と同じですが、Cのペダル上に下属調の同主短調であるヘ調自然短音階の構成音が提示され、結果としてエキゾティックなCフリギア旋法が響き渡ります。目の前にひらける異境の風景。今まさに終わりのない音楽の探求の旅に踏み出す主人公たちを、何が待ち受けているのだろう。楽しいことだけではない、悲しみも待っているかもしれない。それでも、「いま旅立とう」。そんなニュアンスを感じますね。

こんなふうに、原作小説・アニメの麗奈の名セリフにならって、「DREAM SOLISTERは、すごい曲やから!」とつぶやきながら今日も愛でている、昨今のzhuoでした。
10月からはアニメ第2期「響け!ユーフォニアム2」が放映開始です。あのずっしりとした原作をどう映像化するのか、、、期待が膨らみます。2期はびっくりマークが2つに増えて「響け!!」になるんではと思っていましたが違いましたね(笑)。

今日は響け!ユーフォニアムの主人公の誕生日だそうですので(笑) VOCALOID からはちょっとオフトピックぎみですがこんな話題をとりあげてみました。まあ、どちらも音楽の話題ですしヤマハが関係してますしねw

VOCALOIDを使って自分でもこんなふうにを作っているわけですが、

いやあ、メロディ作り、曲作りの技法は果てしないものだな、うまくなりたい! と改めて思いました。
[2016.09.03 追記] 今日は香織先輩の誕生日ですので(^^) 少しだけ最新の気づきを追加してみました(^^)
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zhuo, a vocaloid fan.

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