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ニッポンアニメ100へのメッセ 後半

ニッポンアニメ100で「響け!ユーフォニアム」に投票するために用意したコメント、後半2月22日からの分です。 最終日の締めくくりは、我ながらきれいに決まったなと。

2/22 選曲の妙の例をもう一つ。一期、滝先生が初めて登場するシーンで、先生は「地獄のオルフェ」をきいています。天国と地獄という名でも知られるこの曲がなぜ選ばれたのか。必ず根拠があるはずなのです。おそらくは、その後二期にわたって展開される、吹奏楽をめぐる喜びと悲しみの数々を示唆すると考えられます。そのカギとなる先生の登場シーンに、これ以上ぴったりの曲はないでしょう。

2/23 サウンドトラックも凝りに凝っています。本編にでてくる珠玉の楽曲が楽しめるのはもちろんのこと、「下手な演奏」がわざわざ収録され、本来の上手な演奏と聞き比べられるようになっているのです。聞き比べるうちに、登場人物たちの真剣な練習ぶり、その結果の上達ぶりに思いが至り、成長の物語を思い返して新たな感動がわきおこります。こんなアルバムも珍しいでしょう。

2/24 投票のみ

2/25 力尽きて投票できず

2/26 サウンドトラックには他にも、ソロオーディションにやぶれた香織先輩が演奏するバージョンの三日月の舞も収録されています。サウンドトラックが、彼女のかなわなかった夢をかなえ、救いとなっているのです。そして、アニメ本編ではカットされた全国大会の演奏が収録され、サウンドトラックまでそろってはじめてストーリが完成する趣向となっています。

2/27 サウンドトラックに収録された数々の気品にあふれた美しい楽曲が、テレビ番組のBGMとして続々使われ始めているのも当然だと思います。テレビアニメで、BGMがこれほど丁寧に作曲され、演奏・録音されるというのはすごいとしかいいようがありません。

2/28 クラシック音楽はちょっと敷居の高いものですが、この熱量にあふれたアニメ作品を楽しむ中でBGMや挿入曲に自然に接し、管楽器や弦楽器の合奏の美しいサウンドに心を洗われ、モチーフを大切に構成されるクラシック曲の面白さに気づく。有名曲になれ親しんでもっと他の吹奏楽曲を知りたくなる。この作品は、この上ないクラシック音楽入門になっているのです。

3/1 またこの作品を通じて一つ一つの楽器に対して登場人物や物語が結びついて思い入れが生じ、吹奏楽やオーケストラを見たとき単なる群衆でなく個々の楽器や演奏者一人一人に目が行くようになるのも興味深いことです。私自身、この作品と出会ってから、吹奏楽やオーケストラの見え方がまったく変わりました。そんな自分自身の変化に心底驚いています。

3/2 音楽も効果音も、あらゆる音へのこだわりがすさまじいこの作品。各地の映画館で、とくに音響を念入りに調整した上映が行われています。私も体験しましたが、これが特別な料金なしでいいのだろうかと思うほどの極上の体験でした。この物語の根幹をなす音楽が、圧倒的な分解能、存在感をもって目の前に立ち上がる、感動的な時間でした。

3/3 ここから改めてストーリについて。原作の良さということになりますが、1期(原作1巻)は、個々人の覚醒と成長の物語。やる気のない部員の心に先生が火をともしてゆき、それが野火のように広がっていきます。個人の技術的な成長が主題だけに、京都大会の直前は各人が「失敗しないだろうか」と緊張しきっています。

3/4 2期に入るとこんどは、部員間の心の連帯、そして部活動をとりまく社会の現実といったものにストーリの視点が広がっていきます。関西大会では演奏直前も友との会話がはずみ冗談さえ出る余裕。楽譜に貼られた合宿の写真。心の和。府大会とはなんという違いでしょう。さらに、受験との両立や家庭の複雑な事情にも踏み込むずっしりとした展開。なんと真摯な作品でしょうか。

3/5 原作の3巻はいずれも、ストーリの山場にむけた劇的な展開が実に巧みです。表面的には軽妙な描写に彩られていますが、底に流れる真摯なたたずまいの骨太のストーリは、ラノベなどという枠にはとてもおさまらない、青春文学の傑作です。読んでいて感極まりほろりと涙がこぼれる、こんな作品はそう多くはありません。

3/6 アニメはその原作小節の良さをよく生かしています。時間的な制約からカットされたディテイルもあり、わかりやすさのためと思われる若干のエピソードの組み換えはあるものの、大筋ではほぼ原作に忠実にストーリをたどっています。2期で原作の2巻・3巻を描き切ったのは詰め込みすぎで惜しいとも感じられますが、やはり英断であったと思います。

3/7 振り返ってみると劇的な緊張感あるエピソードが目白押しです。1期はまだ一本道の成長の物語ですが、たとえばチューバの初心者の葉月のために緑輝と久美子がきらきら星を吹こうと誘い、葉月が音楽してた!と目を輝かせるシーンは、合奏経験者の誰もが覚えている感動を呼び覚まします。主題歌の「一人じゃ出せない音があること気づいた」という歌詞に呼応する愛らしく尊い一瞬です。

3/8 主人公である久美子と麗奈の関係のディテイルも非常に興味深いところです。久美子は吹奏楽も、人生そのものも、主体性なく漫然と過ごしていました。しかし卓越した演奏者・麗奈と徐々に友情をはぐくみ8話の大吉山上での対話をへて12話で「上手くなりたい!」と絶叫、その瞬間、負けて悔しいと泣いた麗奈の気持ちに一歩近づきます。険しい自己実現への覚醒です。

3/9 このシーンの重層性も味わい深い。主人公の目線ではほとばしる激情と涙の覚醒に圧倒されるわけですが、親の目線では、苦境を跳ね返し劇的な成長をとげる子供の瞬間のきらめきに胸が熱くなります。傍観してみると、秀一とのやり取りは真剣なのになんだか可笑しく、「健康で、衣食住の心配もない。好きなことに夢中になれて、幸せだね」とほほえましくさえあります。

3/10 深夜帰宅のため投稿できず

3/11 逆に麗奈はどうでしょう。1期、先生と結ばれたい、邪魔者は力でねじふせるとまるで少年か機械のようだった麗奈が、ものおじせぬ直言者久美子とのふれあいの中で人の優しさを知っていきます。先生に奥さんがいた事実に打ちのめされるも、その衝撃を乗り越え、先生が愛した人を敵とせず敬い、先生と奥さんの夢を自分がかなえると高らかに宣言する。蝶の羽化を想起させる劇的な成長の一瞬です。

3/12 麗奈は特別を目指す求道者です。彼女は他者を否定し孤独に生きてきました。それは違うと彼女が学んだのは久美子からです。一方その久美子は、先輩や姉、友人から「失言王」「お口をぬっちゃうぞ」と言われ続け、失言癖を欠点と思い込んでいました。「久美子は痛いところを突いてくる。それを隠してるいい子ちゃんの皮をはがしたくなる」と、直言は長所だと教えたのは麗奈です。

3/13 ものおじせぬ直言者久美子と、ひたむきな求道者麗奈。互いが互いに良い影響を与え成長していく、美しい二人のchumshipです。アニメーションではこのことをオリジナルエピソードにより明確に描いています。1期12話の久美子の切なくも美しい覚醒は、宇治橋の西岸、水上で。2期11話の麗奈のうるわしい羽化は、宇治東岸の山上で。対称性ある様式美です。

3/14 地理上の様式美については後でまた語ることにして、ストーリの劇的構成についてもう少し。1期のクライマックスである再オーディションのエピソードです。なぜ、香織先輩は再オーディションに手を挙げたのでしょうか。原作とアニメでは詳細は異なりますし解釈は人それぞれと思いますが私の解釈を述べてみます。

3/15 1年生の麗奈がソロに選ばれ、3年生の香織先輩がかわいそうだと麗奈に非難が集中します。府大会を前に部員は分裂、協調性を失った部は崩壊の危機に陥るのです。アニメでは松本先生の助言を受けた滝先生の提案、原作では香織先輩の自らの申し出により再オーディションが実施されます。

3/16 彼女が再オーディションを望んだ理由は、自分が納得したかったから。多くの人がそう述べています。でも、そうでしょうか。いつも自分より部全体のことを第一に考える彼女が、優子に夢をあきらめないよう励まされたからといって、自己満足のためだけに本番前の貴重な時間を使うことを主張するはずがないと私は思うのです。

3/17 私は信じています:香織先輩は、部を崩壊から救い、自分の夢を打ち砕く者麗奈を守るために立ち上がったのだと。「麗奈は私より上手い。彼女が吹くべきだ。でも私が身を引いた今のままでは部は崩壊する。私は夢をあきらめず全力を出し切って勝負しよう。私は負けるだろう。でも麗奈が勝ることが明らかになれば麗奈への皆のあらぬ非難はやみ、部はまとまり、もっとも強い布陣で大会に出られる」と。

3/18 香織先輩は再オーディション前にあすか先輩や春香先輩に腕の優劣をたずねます。友人を傷つけまいと二人は言葉を濁します。しかし彼女は、勝てるかではなく、自分が全力を出してもちゃんと負けるかを確かめていたのです。香織先輩は内に秘めた結論、自己の行動の正しさを確信します。そのとき香織先輩はあすか先輩や春香先輩が思うより先を行っていたのです。

3/19 比較演奏を終えた彼女は滝先生に問われて直ちに「吹かないです。吹けないです。ソロは高坂さんが吹くべきだと思います」と述べます。彼女は、決してその場で、あれ、自分は下手だったのか、と気づいたのではありません。再オーディションに手をあげた瞬間から彼女はこの結論をしっかりと携えていました。まず、自己の意志。次は、この部では上手い人が吹くのだ、それに従えば私は吹くことはできないという宣言です。

3/20 まだ高校生の彼女にこれを言わせるのは残酷だと、あるいは後輩に夢を打ち砕かれた彼女は悲劇の人だという見方もあります。ですが、そう思う我々よりも、彼女は先を行っているのです。彼女の夢はついえた。しかし部員の心はまとまり、部は勝利して先の大会に進めた。何より、滝先生をして心から上手だと感嘆させるほどの、麗奈に匹敵する高い演奏能力を、彼女は手にすることができたのです。

3/21 香織先輩は自らの夢をなげうって部を崩壊から救い、自分の夢をうち砕く者麗奈を守りました。なんと崇高な強い香織先輩。彼女の自己犠牲や、ライバルをも愛する態度にはクリスチャニズムを感じます。そこではたと気が付くのは皆が彼女をどう呼んでいるかです。まじエンジェル(天使)であり、マドンナ(聖母)なのです。今度は原作者の巧みさに感服するほかありません。

3/22 2期はさらに劇的な展開の連続です。4話、みぞれを支え精神的な窮地から救い出す優子の行動。みぞれのため「あなた事情わかるわよね」と、なんと久美子に協力を求めたのです。再オーディションのことで対立したしこりをやすやすと突破する、なんという決断力。みぞれを叱り激励する圧倒的熱情。助け起こしたみぞれに日があたり、救済が暗示されます。

3/23 優子に促されたみぞれは希美との友情を取り戻します。元気になったみぞれ、それがゆえに自分は保険だったのだと傷つく優子。しかしこのショックを、けんかばかりの--それだけに互いを深く理解している--友である夏紀がクッションとなって和らげます。衝突があっても受け止める友情のネットワークのしなやかさに胸が熱くなります。

3/24 2期の9,10話は、皆の期待を背負った久美子が、一度は夢をあきらめた先輩の気持ちをひるがえすのに成功する後半の山場です。直前で「久美子は痛いところを突いてくる」と、失言は直言であり長所だと麗奈に励まされる。あすかに教えてもらったことで苦手な数学のテストで回答を出せる。感謝の念が沸き、同時に、難しい問題に答えをだせるようになった久美子の成長を暗示します。

3/25 久美子は先輩に単身説得を挑み、圧倒的な議論力で簡単にねじふせられてしまいます。万事休すか。いえ、皆から託された強い想いに背中をおされ、久美子は捨て身の反論。筋も通らないけれどその熱量にグラリとけおされ、あすかの凍てついた心は融け、優しさや前向きさを取り戻します。まるで激しい一騎打ちをみるような緊張感。これまでの様々な展開がこの一点に集中する、劇的構成のピークです。

3/26 最後に本作品の、地理上の様式美を含む「暗喩」の深さを少し。西岸の縣神社、平等院(久美子の家)、久美子ベンチ、朝霧橋、東岸の宇治神社、宇治上神社(麗奈の家)、そして大吉山展望台まではほぼ一直線です。ストーリを俯瞰すると久美子の西岸は水べ、極楽、世俗的、享楽的、人々の賑わいといった穏やかさ。麗奈の東岸は修行、求道的、禁欲的、孤独といった厳しさ。と対称的です。

3/27 ストーリの中で久美子は久美子ベンチから大吉山を見上げている、麗奈に招かれ東の大吉山に登る。麗奈はそこで西岸を下に見て奴らとは違うと言い放つ。でも花火大会で麗奈は久美子に招かれ西岸の夜店の賑わいの中で友情を深める。直言者久美子と求道者麗奈は相手にないものを補い合う関係ですが、地理的にも朝霧橋を通りお互いの世界を体験しているのです。見事な対称美です。

3/28 (時間を間違え、投稿しそこない) さらに久美子の西岸の水上での覚醒、麗奈の東岸の山上での羽化は、朝霧橋の中心線をはさみ対称の位置にありますし、宇治川花火大会は二人の結び付きを祝福していることになります。覚醒の場面で久美子が東岸から西岸に走る、西岸で覚醒する、その瞬間奈良線の明るい電車が東に走る。「逃げ帰るな、東岸へ、自己鍛錬の道に向かえ」という暗喩だととらえられます。

3/29 暗喩といえば、稲荷に住む緑輝は小動物に例えられ巧みに人を導く。赤いお稲荷さんの象徴でしょう。化けて逆の「緑」になったのに呼び名だけ「サファイア(赤)」のまま。尻尾が出ているようです。また能力のある麗奈、あすかは黒髪黒ストッキング。固いガード、孤高を暗示する設定ですが、異世界における白い何かの、この世での仮の姿なのかもしれません。

3/30 映る花の花言葉の場面との完璧な符合。2期9話のあすかのユーフォ演奏の際に描かれる、空を行く2羽の鳥の意味。1期の冒頭が校内の階段をみあげる形で始まり、2期の結末はその階段を先輩がくだり久美子はのぼっていく意味。こういう膨大な暗喩、仕掛けがあればこそ、原作テキストとアニメを原典としてシャーロキアンのように解釈を楽しむファンが出現する。それがこの作品のすごさです。

3/31 人の醜い面をも描くほろ苦い味わいが、大人のファンが多い理由でしょう。またイベントとして、声優ショー、キャラクターショーでなく演奏会が開催されたのも珍しいことです。地元とのタイアップでは京阪電車はもちろん宇治市とも連携。地域の学校による吹奏楽の演奏会など地域おこしにも貢献しています。圧倒的な熱量に満ちた光り輝く作品、響け!ユーフォニアム。この作品を私はいつまでも忘れません。
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zhuo, a vocaloid fan.

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